映画『許されざる者』情報
1992年アメリカ映画 131分 原題 Unforgiven
監督クリント・イーストウッド
クリント・イーストウッド・・・ウィリアム・ビル・マニー/かつて列車強盗や保安官殺しでその名をはせた伝説のアウトロー。妻と出会ってからは改心し、農夫をしている。
フランシス・フィッシャー・・・ストロベリー・アリス/ワイオミング州の町、ビッグウィスキーの売春婦
ジーン・ハックマン・・・リトル・ビル・ダゲット/ビッグウィスキーの悪徳保安官
モーガン・フリーマン・・・ネッド・ローガン/マニーの昔の悪党仲間、今は農夫
ジャームズ・ウールヴェット・・・スコフィールド・キッド/懸賞金目当てでマニーを誘い大金を稼ごうとする
映画『許されざる者』ネタバレあり感想
①笑えるシーンがある
クリント・イーストウッド作品、はじめて観ました。ポスターを見て、勝手に、
笑いのシーンなんて全くない!ストイックな
That’s 男の世界
みたいな作品なのかと思っていました。
ですが、意外や意外、くすっと笑えるところもありました。
無口で屈強な男、マニー(クリント・イーストウッド)が一人で何度も無言で落馬するシーンがあります。特に何か変なことが起きるわけではないのですが、あれだけガタイのいい男が、無言で、何度も何度も、しっかり落馬するのって笑えますよね。(しかも、しっかりゴロンッて感じで落馬する(笑))
見終わってから、頭の中で何度もそのシーンが思い出されて、じんわりと笑えてきました。
②クリント・イーストウッドが凄かった
クリントイーストウッドが、とにかくすごかったです。特に昔の仲間ネッド(モーガン・フリーマン)が殺されてからの切れ具合。
人を殺すなんて簡単にできることではないんだよ、ということをさんざん見せてからの、いや、なんなならちょっと頼りにならないかも・・・と思わせるようなマニーの姿を見せてからの、いざ切れた時の
殺し屋の目。
張り詰めた空気。
非常っぷり。
いわずもがな、この作品の監督はクリント・イーストウッド本人なのですが、もちろん役に対してのイメージなどは誰よりも明確にあったのだとは思いますが、
(イーストウッドはこの役をやりたかったんだな)
という思いがとても伝わってきました。
正直、
『こんな小さい子供がいる年には見えない気もするなあ(汗)』
などと序盤は思ったのですが、映画の後半ですべて納得させられました。
「女を犯す奴は殺す!!!」
と言って馬に乗って去っていく・・・。まさにヒーローですよね。
男の美学を感じました。
③正統派悪役
この作品の悪役は保安官のジーンです。ジーンハックマンが演じています。
『悪役』というと、アクの強い、個性が強い、それこそ主役を食うような悪役が沢山いますけど、この作品のジーンは変化球なし。正統派。まさに正統派悪徳保安官。
なんというか、
「この世界にはやはりこれなんだな」
と思いました。
ストーリーにも演技にも変化球なしの直球勝負。
そのせいか作品からも、正統派、みたいな・・・もっと言うと格調高さ、みたいなのを感じました。
④意外性
でも西部劇というと、あまり観たことはないですが、白人さんばっかり出てくるイメージだったので、仲間が黒人のネッド(モーガンフリーマン)とか、ネッドの奥さんがインディアンの方だったり、結構新鮮な感じがしました。作品自体がクラシカルなイメージだったのでそのギャップも面白かったです。
ストーリー的には、
【かつて悪行を重ねてきた男が、自分と同じように悪の道へ進もうとしている若者の道を正してやる】
というお話です。
まさに古き良き時代感があり、それが作品全体のクラシカルな感じをより強めているのかなとも思いました。
そういう意味では「え!?」というような衝撃のストーリー展開というのはなかったですが、でもそれでも退屈する間もなくあっという間に見終わった感があるので、
「クリントイーストウッドの監督としての才能も凄いんだろうなあ・・・」
と思いました。