映画『ミリオンダラー・ベイビー』情報
2004年 アメリカ映画 原題 Million Dollar Baby
監督 クリント・イーストウッド
クリント・イーストウッド・・・フランキー・ダン/ボクシングジムを経営している老トレーナー。不器用な性格
ヒラリー・スワンク・・・マギー・フィッツジェラルド/貧しい家庭で育った31歳のウェイトレス。ボクサーとして成功するためフランキーダンのジムにやってくる
モーガン・フリーマン・・・エディ・デュプリス/元ボクサー。ダンのジムの管理人であり、親友。別名【スクラップ・アイアン】
映画『ミリオンダラー・ベイビー』ネタバレあり感想
①重い・・・(汗)
監督つながりで観るのも悪くない、という発見したので続けてイーストウッド監督作品を観ました。
私の中で【気をつけなきゃいけない映画】という映画があります。
正直、つまらないのは、まあいいです。ある意味
「あの映画すっごいつまらなかったー!!!」
というネタになるので。
ではどんな映画に気を付けないといけないのか?それは、見た後救われない気持ちになる映画、いわゆる鬱映画、というやつです。
(有名なのは『ダンサーインザダーク』とか。←まだ観れてません。同じくキャストが好きな役者さんなので観たいけど鬱映画と噂の『ブルーバレンタイン』も観れてません)
鬱映画はよっぽど状態がいい時でなければいけない。
(そして、人生そんな時はめったにない!)
気を付けていました。気を付けていたんです、なのに・・・・
完全にノーマークでした。かなり、重かった・・・。こんな展開だとは・・・(涙)。
②途中まではボクシング映画
ボクシングのお話です。
勝手に、女性版ロッキーみたいな話かな?などと思っていたのです。
が、全然違いました(汗)(汗)(汗)
フランキー・ダン(クリント・イーストウッド)は、年老いたボクシングのトレーナーなのですが、成り行きでマギー(ヒラリースワンク)にボクシングを教えることになって、と、途中までは思った通りでした。
(ここまでは予告見れば誰でもわかるって?)
問題は後半40分ぐらいからです。
重いよ・・・(涙)
重すぎるよ・・・(涙)(涙)
②クリント・イーストウッドはマゾなのか?
ダン(イーストウッド)は過去、前途有望な若きボクサーだったエディ(モーガン・フリーマン)のセコンドについていたのですが、エディは片目を失明してしまい、ボクサーとしての道を絶たれてしまいました。
今はダンの経営するボクシングジムで管理人をしていますが、スクラップアイアンと呼ばれています。スクラップ・・・。「壊れた」「ごみ」色んな意味が込められていますが。
ダンがエディに自分のジムを任せているのは、もちろんエディを救えなかったことの贖罪というか、一生彼の面倒を見るという意味でもあるのですが。
つまりダンはすでにもう十字架を背負って生きています。
観終わった後思いました。
「もう充分重い十字架を背負ってるダンに、更に重い十字架を負わせるのかーッッッ!」
ダンは何故マギー(ヒラリー・スワンク)と出会わなければならなかったのか?
神様はなぜこれほどの苦行をダンに与えるのか?
「許されざる者より許されざる者じゃないか(怒)!!!」
イーストウッドは自分でこんな重い十字架を背負った役ばかりやって・・・(涙)。
「究極のMなの?」
と聞きたくなりました。
③マギーが不憫すぎる
ダンの経営するジムにはどこかいびつな人たちがやってきます。
先ほども書きましたが、そもそも管理人のエディ(モーガン・フリーマン)自体がスクラップと呼ばれています。
このジムに、お金も仕事も恋人もいない一人ぼっちのマギーがやって来ます。自分に全く関心を持たない親の為にお金を稼ごうとボクシングを始め、まさに満身創痍で稼いで尽くして、それでも親からの愛は返ってこず・・・。
事故(あれは事故か?)で体が動かなくなって、最後
「もう自分に出来ることは何もないから殺して」
って・・・。
書いてても
「うわああああああああ!!!!!!!」
と叫びたくなる状況で。
こんな目にあったら、正直世の中呪いたくなりますね。こんな世界壊れちまえって破壊思想持ってもおかしくないレベルです(←我ながら危険思想(汗))
こんな発想の私から見たら、途中からのマギーの無欲っぷり。
「天使か???」
レベルです。
全身麻痺になっても取り乱さない。
ダンのことも、そして散々尽くしたのにポイっと自分の見捨てた家族のことさえも一切責めない。
なんでマギーはこんな目にあわなきゃならないのか(怒)????!
(せめて家族への恨み言ぐらい言ってくれ、私のために(涙))
まあだからこそ、マギーという人間の崇高さは伝わってきましたが・・・。
④だから、イーストウッドはマゾなのか?
結果、ダンはマギーの希望通り自らの手で人工呼吸器を止め安楽死させるわけですが。
正直、お医者さんに本人の希望を伝えるだけでもしんどいんですけど・・・。
途中マギーが舌をかみ切るのですが、自殺を助けない、とかでも勿論しんどいんですが・・・。
よりによって己の手で電源を切り・・・・。
そして一人病室を後にするって・・・。
マギーの人生をも背負って生きていく、じゃねーんだよッ!!!
「どれだけ自分を追い込むんですか?あなたどれだけマゾなんですか??? 」
と聞きたくなりました。
気楽に観てはいけない、本当に、重厚なお話でした。