映画『2人のローマ教皇』情報

2019年 イギリス・アメリカ・イタリア・アルゼンチン合作映画 125分 
原題 The Two Popes
監督 フェルナンド・メイレレス
出演 アンソニー・ポプキンス(ベネディクト16世) ローマ教皇
   ジョナサン・プライス(ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿)

映画『2人のローマ教皇』ネタバレあり感想

①面白い

 観る前は、硬い映画なんだろうなあと思ってました。
何といってもローマ教皇の話ですし。重いんだろうなあ、真面目なんだろうなあ、と・・・。
正直観る前から敷居が高いと感じていました。
しかも主演がアンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライス。
重鎮。重鎮たちの共演。
全然ローマ教皇、キリスト教のことなんて分からないけど理解できるかなあと不安に思ってましたが・・・。
断言します。これは観るべき!面白くていい映画でした!
(しかもWikipediaにはちゃんとコメディドラマと書かれていました)

②名優たちの素晴らしい演技

前半はほとんど二人の会話劇でした。それこそ舞台なのか?と思うほどです。
そのうち舞台化されるんじゃないかと思うぐらい会話劇です。
こういう作品を見た時に特に素晴らしいと思うのが、やはり役者の演技力。
素晴らしいです。この集中力のない私が、二人の会話だけで十分集中できるという(笑)。

アンソニー・ホプキンスは、言わずもがな、名優ですが、本当にすごいです。
最初、扱いにくい、嫌な感じの教皇だなあと思ったのですが、観終わった後には、かわいいおじいちゃんだーと思わせてくれました。

ジョナサン・プライスは、『エビータ』で観ました。その時はフアン・ペロンを演じておられました。
アルゼンチンの方で軍事クーデターで政権をとり独裁政治を行った方です。
皮肉にもこの映画では、軍事政権の下でつらい経験をする神父を演じておられます。
(役者さんって大変ね)
非人道的な軍事政権に反発して殉職するべきか、一度政権の中に入り、生き抜いて自分なりの正義を全うしていくべきか、どちらが正解か不正解か分からない問題を経て、罪の意識を背負って生きてる神父。2001年に枢機卿になり、2013年に教皇になるのですが。
(ウィキペディアによると1280年ぶりのヨーロッパ以外の出身教皇だそうです!)
この方が次の教皇になって、最近(2025年4月)に亡くなって、奇しくもその時期に『教皇選挙』という映画が封切られて、アカデミー賞まで獲って・・・。
いーやー、面白いですねえ!


真面目で、厳格で、心許せる相手もいなくて、孤高の存在で居続けようと虚勢を張っている教皇と、教皇は信者にとって寄り添うべき存在であるべきで教会の在り方を変えていく必要があると思っている枢機卿との対話のお話でした。見ているときは改革派(枢機卿側)を支持する気持ちになるのですが、結局どちらも教会を守ろうとしていて、どちらも正解、不正解とは言えなくて。
考えの違う2人の神父が、対話する努力を経て相互理解していくさまが、とても素敵でした。

③もちろんフィクションなんですけど

本当に、深くて、でも面白くて、とてもいい映画でした。
もちろんドキュメンタリーではないので、現実とは異なるところは沢山あると思います。
実際2人の教皇が会ってお互いの辞任について話し合ったことはないそうですし、ワールドカップを2人で観戦したこともないそうです。
でも、おじいちゃん二人がピザ食べながらファンタ飲んでサッカー観戦してるだけで笑える、という、前半が硬派だからこその、後半のクスッとさ。
ほっこりするいいラストだなあと思いました。なんでも脚本がボヘミアンラプソディの方らしいです。


余談ですが、ベネディクト16世(アンソニー・ホプキンス)は2013年に教皇を退任した後『名誉教皇』と呼ばれ、2022年に亡くなったそうです。
そして、ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿(のちの教皇フランシスコ)は2025年に亡くなりました。
教皇選挙(コンクラーベ)で競い合い、ともに教皇になった二人が、近い年に亡くなってる、という現実が、なにか友情話に感じて、さらにほっこりしてしまいました。
(これは『教皇選挙』も見に行かなくては!)

とてもおススメの映画でした。

投稿者

ヤスティ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)