映画『教皇選挙』情報

2024年 米・英合作映画 120分 原題 Conclave
監督 エドワード・ベルガー
出演者
 レイフ・ファインズ(ローレンス枢機卿)ローマ教皇庁首席枢機卿。ややリベラル派
 スタンリー・トゥッチ(ベリーニ枢機卿)バチカン教区所属。リベラル派
 ジョン・リスゴー(トランブレ枢機卿)カナダ・モントリオール教区所属。保守・リベラル派
 セルジオ・カステリット(テデスコ枢機卿)イタリア・ベネチア教区所属。保守派。(伝統主義者)
 ルシアン・ムサマティ(アデイエミ枢機卿)ナイジェリア教区所属。史上初アフリカ系教皇を狙う。保守派
 イザベラ・ロッセリーニ(シスター・アグネス)

映画『教皇選挙』ネタバレなし感想

現在公開中の映画(2025年5月6日現在)なので、さすがに今回はほぼネタバレなしで感想を書きたいと思います。
でもストーリーについては触れてるので、全く真っ白な状態で観たい方はご注意ください!

①音楽のすばらしさ

ずっと弦楽器が流れていた印象でした。ローマ教会が舞台で弦楽器の音楽が流れている、これだけで十分すぎるほどの重厚感のある世界が感じられます。
作曲家はフォルカー・ベルテルマン(Volker Bertelmann)という方です。
Wikipediaで調べてみたら『1990年半ばにはゴッズ・フェイバリット・ドッグというバンドにラッパー、キーボードとして所属』とありました。
映画があまりに重厚な音楽だったので、ラッパー?と聞き、そのギャップになんかクスッとします。つまりそれだけ色んな音楽に精通されてる方ということなんでしょう。
Netflix『西部戦線異状なし』でアカデミー作曲賞を受賞された方だそうです。

②色彩の鮮やかさ

映画を見ると、赤と白の印象が強く残ります。
教皇を選ぶ選挙を描いた作品ということもあり、登場人物のほとんどが枢機卿なのですが、枢機卿の法衣が赤なので、赤の印象が強いのは当然かもしれません。
でも映画全体に豊かで強い印象を持たせるよう、通常枢機卿が来ている法衣よりも、より重厚で深みのある赤を採用されたそうです。
赤の強調は意図的にされたものなのだそうです。
私が特に印象に残っているのは法衣を身に着けた枢機卿たちが真っ白な傘をさしているシーンでした。
私は普段映画を見て構図がどうとか絵が素晴らしいとか感じるような人じゃないんですけど、これは素晴らしい、と思ったのと同時に、映画ってアートなんだなあと改めて感じました。

③ストーリーのすばらしさ

主演のレイフファインズ。『シンドラーのリスト』の時はどうしようもないくずだなと思い『イングリッシュペイシェント』の時は美しいな、と思ったあの方(『ハリーポッターシリーズ』)が、まさに会社の中間管理職で苦労している方たちばりに、胃を壊すギリギリの状態の枢機卿として戻ってきた、という感じでした。
誠実で真面目ゆえに不憫なローレンス枢機卿。
「私は辞任したい」
という言葉を映画の中で何度聞いたことか。
ローマカトリック教会を舞台にしていますが、まさに社会の縮図。
組織の中で苦労してる方たちには共感半端ないだろうなあと思いました。
「自分がやるしかないのか」そう覚悟を決めた直後にあんなことが起きて・・・。
そう考えるとちょっと不憫すぎて笑えます。
これは勝手な妄想ですが、亡き教皇が「違うよ~ロレンス枢機卿。そっちじゃないよ~」と笑顔で微笑んでるかと思うと、さらに笑える。

最初はどの登場人物も枢機卿で(笑)、みんな「~枢機卿」と呼ばれるので、誰が誰か分からず、また静かな演劇が続くので、会話劇だなあ、と思って見てました。
ところが途中から急にストーリー展開が変わったと思ったら、最後の最後での大どんでん返し。
「こ、これは、ネタばれしちゃダメなやつだ!」
と思いました。
途中まで静かな演劇、会話劇と思っていた映画でしたが、見終わった後はハラハラドキドキのエンタメ作品だった、と印象がガラッと変わりました。
そして、人間関係図とまではいかなくても、せめて枢機卿たちの名前ぐらい予習して見ればよかったなあと途中までは思ってましたが、観終わってみれば、予習なしで観ても全然問題なかったです。
とても面白かったです。

投稿者

ヤスティ

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